コミュニケーションと合意形成 相性・感情と論理
<<コミュニケーションと合意形成 相性・感情と論理>>
コミニケーション、 特にチーム(あるいは会議などクローズドな環境)におけるコミュニケーションと合意形成について考えてみたい。
ビジネスマンのスキルはコアスキルとマーケットスキルに分類されるが 特にコミニケーションスキルはコアスキルの中でも重要視される。日本人はチームコミュニケーションによる連携プレーで、組織として強くなることが得意と言われる。
たとえば、女子のサッカー「なでしこジャパン」。世界でいちばん身長が低いチームにもかかわらず、連係プレーでワールドカップ一位(オリンピック2位)になった。個人個人の技もさることながらチームとしての団結力が光って見える。外から中へのボール回し戦略、あるいはオフサイドを取る巧みなフォーメーション。これらは監督から信頼されたチームメンバー間の心と心で理解しあったコミュニケーションプレーがあるからと考えられる。
(もちろん、選手個人個人の力がワールドクラスであることは前提である。2014男子サッカーワールドカップに出場をきめた本田選手が、「個人個人が世界で戦えるレベルにアップしなければいけない」と主張したことは、まったくその通りである。20130606追記)
相互に理解された信頼感あるコミュニケーションは、感性の一致(感情あるいは相性)とお互いに分りあえる論理(合意)から成立すると考える。これはサッカーにおいてもビジネスにおいても同様のことである。下の図で説明してみたい。
図:コミュニケーションの取り方
横軸は、感情あるいは相性の良し悪しを表現している。左側が相性が悪い。右側は相性が良い。感情を司るのは右脳なので右脳軸と呼ぶ。
縦軸は、論理的な合意がされているかされていないかを表現している。上が合意。下の方が否合意。論理を司るのは左脳なので左脳軸と呼ぶ。
<<現状と目標>>
さて、よくある最悪のパターンは左下である。【右脳軸:低・左脳軸:低】感情的にも論理的にも折り合わないチーム・グループ・集団の状態である。相互不信、話もしたくない、とにかく否定。このような関係である。
一方、理想的に目指すべきパターンは右上である。【右脳軸:高・左脳軸:高】感情的にも論理的にも納得し、お互いに尊敬しあうチームである。相互理解があり、本音ベースで話ができる。お互いに意見を言い合い納得感のある合意ができている。
<<改善ルート>>
最低のパターンからいちばんいいパターンに移行していくのに直接飛び級できるというよりもいくつかのステップを踏むことになる。
まずは左上に行くコミュニケーションパターンを見てみよう。【右脳軸:低・左脳軸:高】正論・建前で話し合いが進み、形式的にあるいは総論としては賛成だが腹に落ちていない。ハイレベルな空中戦の議論である。結果、上司(あるいは取り纏め役や発言力が強い者)が「あれ、これ」と指示をし、結果、面従腹背の結論で、実行にはつながらない。時として逆作用にもなりうる。
次に右下のコミュニケーションパターンを見てみよう。【右脳軸:高・左脳軸:低】感情的には相手を認めているが、意見ややり方が大きく違い論理的に納得できない。合意できない。言ってる事は解るが私はそう思わない。私は違う考えだ。というケースである。
ベストな状況でないとするならば、いくつかの方法でコミュニケーションを改善してゆく必要がある。
<< 感情の融合のためには 右脳軸 左 → 右 >>
まずお互いに人間として理解し合い尊敬しあい話ができる状態になることすなわちの右脳軸において左から右に移行する事。
1)体験共有型=同じ釜の飯を食うこと。合宿、同室、同一行動、すなわち物理的な時間を多くとりお互いの生活感を理解し合うことである。
2)触媒仲介型=上司あるいは第三者による仲介・コミュニケーション促進活動。当事者同士ではきっかけがつかめない。立場が悪い。対立的になる。このような姿勢を自重するようにできる。
3)目標共有型=明確な同じ目標持たせる。スポーツでチームワークがとりやすいのは 目標や結果が明らかで可視化されているからである。ビジネスだとXXX億円といっても目標意識は薄い。
4)危機共有型=仮想的に共通する窮地に落とし込み協力しないとカムバックできない環境に置く。目標共有型の一つのパターンではあるが、到達点がわかりやすい。JALのV字回復などは典型であろう。
<< 論理の合意のためには 左脳軸 下 → 上 >>
次に論理性においてお互いが納得できる結論を得るすなわち左脳軸において合意、高いポジションに向かうことである
1)伝える力=プレゼンテーション能力 説明責任と説明力 問答する力
2)考える力=論理的思考能力、課題分析、真因把握、課題解決案策定、
3)解かる力=現状分析力 現状把握、問題認識、原因究明
この3点強化、実施である。それが役員会であっても、サッカーチームであっても、営業チームであっても、店舗の店長とスタッフであっても、内閣であっても、日中関係であっても、1つの同じ目標を持って活動している限りは皆同じである。
<<コミュニケーション改善のアプローチ>>
私見であるが、日本人は、基本的に「戦いの嫌いな忍耐強さ」を特性だと思う。(もっとも忍耐・忍耐・忍耐でかなり深くため込んだところで一定線が来ると「へその尾」が切れてと大クレーマーになることもあるが)で、そうであれば、議論でファイトするよりは 左下→右下→右上のアプローチがやりやすい。いまいち相性が悪いなと思いつつも合宿などすれば摺りあってくる。
一方、欧米は、左下→左上→右上のアプローチだとおもう。自己(自我)主張がない奴は、土俵に上がれない。論理構成力が比重の高いレスペクト要素として感じているからではないかと思う。