リーダーシップスタイル 

 

  【今日はリーダーシップスタイルについて考えてみたい。】リーダーシップとは何かと言われても、なかなか説明しづらいものである。組織との関係、リーダーとリーダーシップの違い、コミュニケーションとの関係、活用局面(シーン)など関連が複雑に思える。このあたりから考察を始めたい。

1:定義:リーダーシップとリーダー

まず、リーダーシップの意味であるが、能力、スキル、人を動かす力 とする。

「リーダーシップとは、課題解決あるいは目標達成のために部下、チームメンバー、あるいは 関係する人々のグループ集団を巻き込んで、目指す方向にぐいぐいと引っ張っていく、目標を達成する力」と言える。napoleon-bonaparte-73543_1280

まさにフラグシップ=旗をたてて部下を引っ張る。馬(ロバ?)にのったナポレオンが先頭にたって軍を率いる姿や戦国武将のイメージであろう。

一方、リーダーとは、立場、ポジション、役割である。組織あるいはグループ・集団における長としての役目を持つものである。言い換えると「権威」を与えられたポジションと言える。

リーダーシップ(能力)を保有している人がリーダー(立場)となるべきである。この点が上手くいかないから世の中なかなかむずかしい

分類:2つのリーダーシップスタイル

では、どのようなリーダーシップスタイルがあるのか? 私は、それを「命令型」と「共有型」に大別している。

命令型は、リーダーの持つ何らかの「権威」に基づいてメンバーを動かしてゆくスタイルである。

about-577020_1280共有型は、リーダーがメンバーの心に価値観共有を促し、行動させてゆくスタイルである。

権威=「外圧的」か、価値観=「内発的」か のアプローチの違いといえる。

リーダーシップスタイルには、人間関係性、メンバー成長重視、経済(金)要因、率先垂範などの要素をスタイルに上げる考え方もあるが、ここでは、命令型と共有型に集約し、その他の要素はその下位項目(サブセット)として位置付けたい。

2:局面:リーダーシップの発揮シーン

それぞれのリーダーシップはどのように発揮されるのか? その局面はいろいろであり、必ずしもいつも同じリーダーシップスタイルを持つ訳では無い。

どのような組織形態の中でも リーダーはそのリーダーシップスタイルを最適な形で適用しようとするはず(べき)である。(それも、できないからいろいろな社会問題がさらに起きている。)

まずは、命令型リーダーシップの局面(例示)を見てみる。

オフィスで火事になった時には、組織リーダーの部長Aではなく火災消防責任者部員Fが、瞬時にリーダーになり「A,B,Cは非常階段で逃げろ」、「Dは119に電話しろ」、「Eは消火器を取ってこい!」と指示をすれば、安全脱出と鎮火の可能性も高くなる。有事の際には、火災消防責任者というような権威と指示をだす能力(勇気、大声指示など)が、問題を解決する。

共有型の例は、どうだろうか? ビジネスの先輩から聞いた受け売りではあるが、brick-laying-272189_1280

村を歩いていたら、作業している労働者がいた。一人に「何をやってるんですか?」と聞いたら「煉瓦を積んでいる。たいへんだ!」と答えた、しばらく行って、また労働者がいたので、同じ質問をしたら、「病院を作っているのだ。これで何千人もの人が助かるのだ」と答えた。

前者は、設計図どおり一ミリと違わぬしっかりした仕事をして褒められた。後者は、設計図に階段があったのでバリアフリーで斜めの道にしようと提案し、褒められた、というお話である。(このような話はドラッカーも記述している。)

リーダーの労働者への説明に差異があり、建築物の目的やベネフィットを浸透させている後者の方が、より便利な価値のある建物となるであろう。

図1

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上記 図1を見ていただきたい。

組織を論じているようでもあり、コミュニケーション形態を論じているようでもある。いろいろな方々の講演を拝聴したが、よく利用される図である。今日は、この図に「リーダーシップ」という視点で 説明を試みてみる。

3:組織とリーダーシップ

組織とリーダーシップの関係はどうか。よく言われるように組織には2つのスタイルがある。 上図を組織図だとすると、1つ目(図1左)は官僚的ピラミッド型組織。 2つ目(図1右)はネットワーク型組織。となる。

それぞれに、組織としての長所、短所はあるが、組織の中でリーダーシップは臨機応変に使い分けされる。

しかし、それぞれの組織に似合ったリーダーシップスタイルがあることも確かである。

官僚的ピラミット型組織には、命令型、ネットワーク型組織では共有型が、適しやすい。silhouettes-81830_1280

官僚的ピラミット型組織、命令型は、良くないように言われることが多いが、では、効果的な局面はないのかも考える必要がある。ザックリ結論をいうと 組織のリーダーに対する権威付けが正しく設定され、リーダーによりうまく運用されている場合には、メンバーは素直に従っていればいい ということである。

たとえば、創業者が種まきから成長期にかけてぐいぐい引っ張っている会社などでは、社長兼会長の強い意思と行動に、階層型組織での命令型が機能する。さらに、カリスマ経営者だと成長期に留まらず次々と新規ビジネス展開においてそれが好回転する。

一方、ネットワーク型組織は昨今の主流である。それは、変化スピードがはやい、IT進化で情報がつながりやすい、現場の微妙な変化は現場で対応したほうがきめ細かく適切、現場→中央→現場では、意思決定に時間もかかり、情報も欠落する、などの理由である。

そこでのリーダーシップスタイルは、共有型となる。メンバーの意見を尊重しそして高度なファシリテーション力で、まとめ上げてゆくことで価値が生まれる。

4:リーダーシップとコミュニケーション

今度は 上図1をコミュニケーションの話として考えてみよう。人と人を繋いでいる線はコミニケーションのラインである。

よく言われることであるが、ピラミッド型おいてはボスAと担当B-Fがコミニケーションをそれそれ1:1の関係を持つだけでコミュニケーション線は5本である。

一方で、ネットワーク型は、それぞれがつながるので15本=(N*(N-1))/2のコミニケーション量ができる。

コミュニケーション量が多い方が、意見の多様性がうまれ、イノベーションも起きやすいのは当然である。たぶんにITの進化(Web1.0=単方向、2.0=双方向、3.0=全方向)による部分も多い。

多様性ある意見をまとめるためには、前述のファシリテーション力が共有型リーダーシップスタイルの要となる。pyramid-89047_640

逆に、ピラミッド型は、余計な情報がメンバーに入らないので、リーダーの方向性が正しい限りにおいては、スピード感をもって物事を進められる。命令型のリーダーは、何があっても自信を持ち続ける、折れてはいけないスタイルである。

よく、トップダウン、ボトムアップという言葉が使われるが、これはピラミッド階層型コミュニケーションにおける情報流の方向が 「上から下」か「下から上」かということである。日本の経営を議題にするときの流れは、「ボトムアップ=意思決定できない経営者」に行きついてしまうところが残念なところである。「価値ある情報は、高きレベルから低きレベルに流れる」という格言だそうだ。

最近では、トップでもボトムでもなく、ネットワーク型コミュニケーションに結論を見出すケースが多い。

5:リーダーシップスタイル 「命令型」と「共有型」の比較

さて、それでは 命令型と共有型のスタイルを比較してゆきたい。下図2を見ていただきたい。

図2(比較表)

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リーダーの視点 A B C (リーダーの行動についての比較)

命令型リーダー:

命令型は、その名の通り指示命令によって部下や関係者を動かしたり誘導したりする。そしてその行動や実施状況を検査・レビューする。実施されていない場合や、指示命令を円滑に遂行させるために、強く指導したり圧力(プレッシャー)をかけて強引に動かして行く。

機関車の前から引っ張る+後ろから押す。動きたがらない貨車を強引に動かすイメージである。

リーダーの特徴に、率先型と言われる要素もあるが、これは命令型の一部として利用されることが多いと考える。「俺は今までこのようにやってきた。俺が行くからついてこい」的な形であろう。

すなわち、命令型リーダーシップでは、外圧的力を利用する。外圧的力とは、立場+権限(人事采配、査定)、経済的力(給料、インセンティブなど)、才能(圧倒的に差別化された能力)、など、部下 関係者 メンバーが「恐れ入りました」となる状態である。team-720291_1280

共有型リーダー:

一方、共有型は、ビジョンをしっかり持たなくてはいけない。そして、それを共有、方向性、目標や自分達のしたいことは「XX」なんだというメッセージを強く説明しながら、部下や関係者を納得させ動かして行く。

共有型リーダーは、単なるゼネラリストではいけない。組織が何をしてゆくべきか=方向性の核があり、それを推進するための専門的知識は大前提である。

その上で、説明を繰り返し、わかり易いプレゼンテーションもして、進めていく。関心をもたせ価値観を共有しベクトルを合わせる。そこでは、論理性と感性をフルに動員したコミュニケーションが必要である(コミュニケーションと合意形成の項参照)

そして、リーダーは、バックアップ、後ろ盾。環境整備の責任者にまわる。現場の部下や関係者に対して啓蒙活動をし、メンバーの主役としての行動を促していく。みんなが気持ちよく動けるように周囲の利害関係者も巻き込む。

すなわち、共有型リーダーシップは 内発的力を利用する。内発的とはメンバーそれぞれが権限移譲された中で、自己実現と全体目標を一致させながら行動してゆくメンバー本人の力である。ここでいう権限移譲とは、目標やゴールをリーダーと合意・共有したうえで、執行責任をメンバーに持たせ、自主的に行動させることである。

メンバーの視点: G H I J 下段 (メンバーの側の位置づけや意識)

命令型メンバー:

命令型 メンバーの位置づけは、目標達成のための歯車、道具、人材リソースである。そして、意識は、服従、御意(仰せのとおり)ということである。

empire-state-building-19109_640よく、外資系企業で、物事を議論するときに「NYの本社が言っている方法だからそれにしましょう。」と発言する人がいるが、本社の意向に御意といっているわけである。メンバー本人にとって本当の理由は関係なく動くので、上から目線ではとても素直な人と見える。

作業の習熟は、前任者のやっていたことを手本に、見習えとなる。

命令型は、うまくいっているときには、メンバーにとって心地よい。大量生産時代のながれ 成長・売上増は当たり前、みんなの目標は最初から一致していて、利害に対立がない。

しかし、うまくいかなくなる(売上 利益 給料などの減少?)と厳しい状況になる。

共有型メンバー:

共有型 メンバーの位置づけは、資産、アイデアを出す財産、人財である。ゆえに投資として コーチングと教育を実施し、価値を向上してゆくことが必然である。

メンバーは権限移譲の中で、自律し、自分の行動に責任をもつ立場となる。また、同じ目標を持つリーダーや仲間とお互いに共感しあう状態。 相互にレスペクトがある。

リーダーとメンバーの関係性 D E F 中段 (関係性やスタイルの適用局面)

命令型の関係性:

命令型は、権限を中央にあつめる中央集権で、中央が企画し戦略をつくり、計画し、末端に対して命令する。それができる根拠はリーダーに「権威」が保たれるからである。その権威とはword-667243_1280 (640x640)

1)経済的意義:お金、給料、インセンティブである。高度成長時代には庶民は貧しくお金、給料を得ること、これが仕事の目的の大きな部分を占めていた。従ってリーダーの言う通りに従っていれば会社が大きくなっていき昇給してゆくとシンプルに考える状況だった。

2)ポジション・立場:組織や社会においては必ず上下関係がある。そして担当部員は、課長や部長を否応なく意識しなくてはならない。上位者が、その立場を利用して権限(人事・査定など)を行使する=命令する。このようなことは当たり前と受け入れられる。

3)圧倒的実力と才能:リーダーが、卓越した才能を持ち、メンバーとは比較にならないぐらい実績や能力において、高い地位を持つケースである。この場合にはメンバーは尊敬の念を抱くと同時に、自分の意見よりも、リーダーの意見が圧倒的優位と言う先入観に囚われる。

以上はどれも、メンバーが「目標」に対峙して行動するというより「権威」に対して対峙する、外圧的な要因によって動かされていく、ということだ。

a1180_001936_m組織としては、軍隊組織が 解かりやすい。有事においては、素早く正確に対応する必要があり不要な議論をしていると負けてしまう。もっともリーダーが無能だと やはり負けてしまう訳だが。

軍隊は、同一行動をとり同じ釜の飯を食い、人間的にも深く理解し合う。人間性重視である。

敵に勝つ、国を防衛する、高度成長する、起業を成功させる、大きく成長させる、みなわかりやすい目標であり、「権威」=「目標」であるうちは、あまり現場には考えさせないで一気に行動させることができる

有事でない平常時でも、リーダーは、権威があり信頼されていて、目標が明確で、みんなを誘導できると みんなが理解・合意していることが必要である。

そのために 時々、人間関係が大事となり、ホットタッチ中心。自宅に部下を招待、飲み会、正月盆暮れ付け届けなど上下関係維持が起きてくることもある。

共有型の関係性

共有型では、多様性を認めることで成長やイノベーションを促進しようということになる。創造性=多様性のシナジーから生まれると言われる。

そこでは、権限移譲(エンパワー)が行われ、自律的行動が求められる。方向性を理解した中で変化にそれぞれが対応する。そして、個々の尊重レスペクト、人間関係は距離がすこし遠い分、人情的に薄くなるが、論理と合理性でつながるのである。

6: 【命令型と共有型の好プレー と珍プレー の事例】

図3

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命令型の好プレー

強いリーダーのもとに一気に集結するパワー

東日本大震災の例を見ても、自衛隊の対応は評価されている。緊急で、避難誘導する、物資手配をする、リスクを回避する、等を素早くやる。みんなが右往左往してる状態を律する。iphone-676767_1280

セブンイレブンは、特に店舗運営管理という視点では、他のCVSに比べると紀律がしっかりしていると聞いた。販促活動をするとなると全店舗しっかり決められた活動をできる組織といわれる。店舗を清潔にしろということでも徹底しているようだ。これはCVS業態がインフラビジネスであり規模の品質が生命線と認識されるからで、しっかりした紀律は有効である。マニュアル重視の業態ということだ。

もっと、わかりやすいのはカリスマリーダーである。 スティーブ・ジョブズ(下図4)である。ユーザーの視点に立ったこだわりによる製品開発要求、技術屋さんにNOと言わせないやり方だ。

あなたはノーベル賞受賞者教授と一緒に研究開発をするチームメンバーだとする。先生が見自ら発案の実験をしようと言われたら、多分素直に従うだろう。経験・実績・実力・能力・評判などメンバーが理解できないぐらいに圧倒的な差があるからである。

 

図4 企業の発展と リーダーシップスタイル スティーブ・ジョブズ(アップル)の例
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命令型の珍プレー

リーダー力の欠如による面従腹背

リーダーの方向性ややり方について メンバーからの不信を買うことはよくあることである。そしてその場合には、メンバーは、直言せず、面従腹背になる。

「部長には今日やりますと言ったけどまあ明日の午前中でいいや。どのみち結果は同じだし。」てな感じである。

スポーツチームなどは、目標が分かりやすいのであるが、「金メダルをとるぞ」、という近視眼的目標意識だけだと、掌握は難しい。スポーツ人口を増やそう、全体スキルレベルを高めよう、地域にスポーツを、スポンサーを獲得しよう など 選手もなるほどと思うような構想がないと、信頼されない時代になったのではないかと考える。メンバーの持つ情報量や意識が圧倒的に変化(増大)したからだ。

共有型の好プレー

ビジョンの共有とイノベーションの可能性

不況 デフレで 新たな成長・イノベーションが求められる時代である。イノベーションはアイデアを金(ビジネス)にかえることであるが、ジョブスのように一人単独リーダーとして大がかりな仕事ができる才能の持ち主なら命令型でもいいが、通常、そうはいかない。

であれば、小さなアイデアをいろいろと持ち寄って(3人寄れば文殊の知恵)多様性を究極まで高め、取りまとめてゆく共有型リーダーシップの出番となる。

ビッグデータや知識情報を積み上げて 全員で力を出してゆく。コンビニの、商品・ビジネス開発の部分などは、CVSビジネスを中核にあらゆるアイデアを集結・実現している共有型リードの例と考える。

日本人は、ものつくりのアイデアを個々の人たちがもち、創作和食メニューや100円ショップアイデア主婦など 小さい小さいアイデアのビジネス化は数多く行われている。その多様性がまだ小さいままでシナジーされていないということではないかと考える。

大田区のボブスレーの話題(大田区の中小製造企業がノウハウを集結してボブスレーマシンを製作、外国選手のBMW製等に日本チームマシン(そり)としてソチで対抗する話)があるが、このように小+小+小+++の組み合わせでビッグな何かをする。その時のリーダーの資質が共有型リーダーシップスタイルである。the-ball-488714_1280

もう一つ 忘れてはならない共有型の典型的事例は、女子サッカーの佐々木監督である。ビジョンを掲げ、指導しつつも 選手を育て、自律的に戦わせる。レスペクトという言葉がにあうチームの団結である。

共有型の珍プレー

誤った組織の独立性と部分最適

共有型がうまくいかなくなると 「組織発散」か「竦(すく)み状態」となる。

前者は、組織自我が発生し、メンバー間 あるいは組織間で連携ではなく 格差と競争が生じてしまう可能性がある。優位で富裕な立場のメンバーは、「おれの組織は利益出しているんだから交際費いっぱい使っていいだろ。」的な、発言が多くなってくる。

後者は、合議制の罠といわれるもの=「有数なやつ10人あつめて議論したのに、出てくる結果は、要約された平凡で だれも責任を問われないような計画や結論」である。 利害調整型のゼネラリストが、取りまとめた結論が、陥れいやすいケースだ。

7:まとめ  イメージでまとめると

命令型リーダーシップ=(強力なエンジンを持つ機関車+1000両の貨車)onレール

共有型リーダーシップ=(エンジンを備えた自動車の軍団・集団)onロードマップ

ということである。

工場長経験が長いと前者スキル、企画部・開発部経験が長いと後者スキルが強くなるかもしれない。いずれにしても 意識してリーダーシップ力を身に着けるべきである。

どちらのスタイルが良いと一面的には言えないが、個人的には、平常時のベースに「共有型」、ここ一番の勝負で「命令型」の使い分けができるスキルを持ちたいと考える。

最後に、ジョブスの様な強力な機関車は、なかなかいないから、自動車軍団(=適度な大きさの会社)を引っ張る共有型リーダーが若手・円熟を問わず、多く現れてほしいものである。