人財と人材 追い出し部屋や解雇規制の課題について

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はじめに

今月は、人材セミナーを聴講して、グローバル人材とは何か? あるいは 雇用とは何かについて考えてきた。162H (800x514)

(参照サイト:グローバル人財)、 (参照サイト:成長と雇用のスタイル

そのまとめとして、「人材」と「人財」の違いを考え、「追い出し部屋」や「解雇規制」などの問題も考察してみる。

人材の語源を、Webで検索してみると、「才能」から来た言葉であり、人の卓越した能力という解説がある。

また、「人材から人財へのキャリアパス」・「能力を磨いて人材から人財へ」などや、人材は「材料」を表現していて、企業の財産であるべき社員を「材」とは何事か!との怒りの意見とかある。

「屁理屈」のような議論であるが、さりとて、本質的な議論でもあると考える。なぜなら、英語ではHCM(Human capital とHRMが使い分けられているからである。

私なりに考えてみると、人材という言葉は、企業が求める職種や技能に関わる意味合いが強いと思う。a0002_005956_m

企業がグローバル人材を求める。というように 人材・人財という言葉は、企業が主語の時の目的語になる。が、私は、英語ができる人材になるつもりだ、とは言わない。

そこで、4象限の軸で、整理して考えてみた。

横軸には、社員人は、何を提供するのか=報酬に対して何を売るのか。左は、時間を売る人 右は成果を売る人、という軸である。

縦軸には、求められる技術能力が、複雑・複合なものなのか、あるいは、単純・単一のものなのか、という軸である。

図1 求められる社員の人財・人材像について
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横軸は、 時間を売って商売する人(人材) VS 成果(価値)を売って商売する人(人財)

報酬ということでいえば、時間報酬か成功報酬かである。ブルーカラー対ホワイトカラーではなく、仕事の仕方や報酬の測り方の違いである。

左側の、「時間を売る人(人材)」とは、時間消費が 正比例して発生するコストになる。量で測るタイプである。

加工費は、時間単価×時間数である。そして労働者は、時間を売ることで給料をもらっている。すなわちリソース=社員・工員の時間なのである。

ABC・ABM分析などでは時間分析して、残業時間や待ち時間の短縮解消など行う。いかにリソース材料である時間を、効率的に活用するか、利用するかである。

右側側の 「成果を売る人(人財)」とは、ROA(リターンオンアセットあるいはROI)で勝負する人である。ROAでの評価、すなわちいくら価値を生んだかである。

年俸2000万円の人的資産が、どれだけ価値を生んで成功するか。1億円の売上増収をもたらすか?成功報酬で給料をもらうことになる。

だから、企業は将来の成長のために、人財投資として、教育や学習(MBA留学など)をして、リターンを期待する。

縦軸の説明。企業が要求する「技術の複雑性」や「所管する範囲」が、上下の評価軸である。

上は複雑・複合技術。グローバル化する中で、課題が複雑、多様化し1つの技能では課題解決できない局面は増えている。(参照:グローバル化スタイル

このような中で活躍する経営者や専門家の方々を、複合・技術力の高い方々と表現した。

一方、単純・単一技術、あるいは、範囲が狭くて、1つのテーマを深堀して真剣に取り組んで解決するようなタスクの方々を表現した。

 

次に 象限別に大別して整理すると

第一象限:クリエイティブ 経営者層(戦略・企画・開発)

第二象限:スペシャル   専門職層(資格・高度技術)

第三象限:ワーカー    労働者層(生産・サービス従事)

第四象限:管理監督    管理者層(管理・監督)

となる。

象限には典型的な職業をプロットしておいた。

第1象限:クリエイティブshield-293172_1280

経営者、戦略や企画担当、R&D研究・開発、経営コンサルタント?など、成果だす、価値を生み出すことを 使命とする人財。

ビジョンや目的をもち、社会や経済が激変する中で、リスク(破産・倒産・解雇など)をのりこえて成功を目指す。うまくいけば大きな報酬を得ることができる人財である。

海外の子会社に役員を派遣したいがいい人財はいないか?ということで年俸2千万円の人財が、数億の利益をもたらすROA(ROI)の期待である。別に月に100時間働こうと300時間働こうが関係ない

第2象限:スペシャルdoctor-650534_1280

第二象限は、パイロットや、時間請求の弁護士、会計士、あるいは勤務医などを上げた。

高い技術力、資格や権威があり、高い報酬を得ているが、一方で、失敗に対する大きなリスクを抱えながら活躍している職業である。

タイムアンドマテリアル請求でビジネスをしているのであれば、体と時間の切り売りであり、これは 人材である。

第3象限:ワーカー

IT企業のSEやプログラマー、工場の生産現場労働者、流通の店舗スタッフなどである。picjumbo.com_HNCK4005 (800x533)

一生懸命働くが、技術の参入障壁が低いので他の人に取って代われる可能性もある。さらにBPRや機械化・省力化で人員削減も行われる。残業規制もある。

より本質的には、市場変動の大き業界の製品では、売れなくなれば職はなくなってくる。

このように本人にとって管理不能な要因が多い。

逆に言えば、経営者や管理者の失態は、そのままインパクトになる。

第4象限:管理監督

特定のプロジェクトを担当するPM(プロジェクトマネジャー)、工場監督管理者、店舗店長など管理職の集団である。silhouettes-439150_1280

典型的なのは、ハンバーガー店舗やアパレルSPA店舗の店長・管理者である。成果で責められるチームリーダーでもあり、現場作業者の役割も残業なしで補う管理者ということである。

そして、厳しい立場である。自分のキャリア成長は意識されず、チーム業績が最重要視され、いつの間にか、自分は会社のお荷物となっていることが多い。

このように見てくると、「グローバル人材を求める」と言った時には、「人財」の意味合いであり、店舗スタッフや労働者ワーカーレベルを他国に派遣する(日本人を海外に出す)ことは、あまり実践的ではないということになる。

  <今日の課題について>追い出し部屋問題追い出し部屋の問題は、従来の日本の雇用制度や教育制度の根付いてきたものと考えるが、その対象は、第四象限管理監督層の処遇の問題である。

人財として持つべき、スキルがないのに、年功序列で管理職になってしまった人が、ROAに見合わない社員と定義されるわけだ。
さらには、企業としての事業の変化(それが失敗であっても戦略的意図であっても)で、不要なスキルとなれば、A:開発者設計者 や C:ワーカーも、本人の能力とはあまり関係なく 対象になる。解雇規制 問題

主に、第三象限:C:ワーカー 労働者の処遇の問題である。

A:クリエイティブ層や、D:管理監督者層は、自分が頑張る裁量の余地があり、そこでうまくできなければ、解雇対象となっても、自分で考えなければならない立場である。

ところが、ワーカー層は、自分の原因でないのに解雇対象になる場合もあり、解雇規制を自由(金で解決)にするのは微妙である。

液晶テレビの部品を作っていたワーカー労働者が、液晶テレビの需要減少で生産ラインが廃止となる。ゆえに解雇するしかない状況だ、では、シンプルすぎる。さあ どうする?

1) 解雇して、社会セーフティネットへdirection-255294_1280

2) スマホ液晶事業部(例)に異動

3) ワークシェアで、給料を減らして雇用人員維持。

4) 解雇 数年分の給与を保障

など。

上記 液晶テレビの例のような事態は、ほぼ90%経営者に責任がある。スマートな経営者は、液晶パネルからの脱却を準備しておくべきだった。

今日現在で言うなら、いつまでもスマートホンばかり作ってないで、そろそろポストスマホや新たなインフラ上のテレビに軸足を変えましょ。ということだ。ウエアラブルスマホ(身に着けるスマホ)の開発をすでに始めているべきなのだ。

そのためには、「社員から経営者まで、一丸」となって能力や技術を変化させてゆく力。この意識が必要である。

新陳代謝を高めるために、解雇規制変更で、流動性を高め「正規社員採用を容易にできるようにする」ことは、必須である。しかし、それは、有能な経営者が、次へのビジョンに向けて素晴らしい道筋が描ける前提で、OKだ。辞める人も残る人も納得できる形が作れる。

ところが、無能な経営者の場合には、POORな延命戦略(既存事業の延長)を信じて、(「申し訳ない」と言いながらも、悪気もなく、やむなしと決めつけて)、解雇進めてしまう。本来、経営責任を問われるべき! ということだろう。

第三象限の人にこそ、教育で広い視野を持たせることで、覚醒する可能性がある。そして、本人が経験と知恵を育み、第二象限や、 第3象限さらには第一象限に挑む努力が期待される。

専門家の信頼感低下

専門家が、時間切り売りビジネスをしていると、金を稼ぐため(&名声をえるため)に時間を最大限に消費してしまい、スキルは向上しない。

村社会を作り、自分たちの世界で固まってゆく。司法、会計士業界など、過去の弊害は、みな時代の変化とはかけ離れてしまったところに起因する。

高度な資格や複雑技能は 個人力に帰属し雇用は安定だが、象牙の塔みたいになりやすい(専門バカ・村社会)

(つい最近もコンクリートと断層を間違えちゃった学者専門家がいた)

リスク回避経営

最後に、経営層について課題提起をしておきたい。board-240136_1280

ビジョンなく、リーダーシップもなく、役員の互選でなった経営者にできることは、既存事業の延長運営しかない。

そして、リスクを冒さず、「人」にも「物」にも投資をしないまま、貯蓄をし続けてきた一部の古株経営者が、「デフレでいいじゃん。俺がいる間は」と言う時代を続けてきたのではないか。

(参照:景気低迷の日本

そのような時代はそろそろ終わりにしよう。これから10年-20年を背負う若手経営者の活躍 それが、デフレ脱却の第一歩である。

以上