「ファクト・事実」と「ビッグデータ」と「情報分析」と「課題解決」

<<ファクトベース アナリティクス>>

【はじめに】

ビッグデータによる経営課題の解決のプロセスを、静的フレームワークと動的アプローチで考えてみた。

静的フレームワークとは、「事実・ファクト→ビッグデータ→分析対象情報・インフォメーション」という裏付の流れ、「不都合・問題・願望→課題→原因・真因→解決案」という究明の流れである。

そして、2つの流れの交わるところに、「仮説検証」があり、そこから解決案の提案が行われる。この概観を示したものが図1である。

一方、動的アプローチとは、現在の状態を知り、その状態に至った過去の経緯を探り、現在から将来向かっての改革施策を考えるアプローチ(図2)である。古い言葉で言えば温故知新と言えばいいのであろうか。そして、経緯とは、ケース(トランザクションのながれ)としての事実・ファクト=個人が行った連続的行動履歴である。

今日は、この静的+動的の2つを考えながら経営課題解決案の策定と施策実行を考える.。

【1:静的なフレームワーク】

図1:静的なフレームワーク
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図1を見てもらいたい。

まず右の方から、経営者であれ一般庶民であれ「不都合な事実・ファクト、不十分な状況」というものは抱えているものである。問題であり悩みであり、やりたくて出来てないこと(願望)である。

例えば、売り上げが伸びない、社員がパソコンをなくした、プライベートマターの悩み、プロジェクト遅れ、などネガティブな問題もあれば、新しい製品・商品を展開したい、効果的キャンペーン実施をしたい、新興国に展開したいなどポジティブな願いもある。

これが不都合な問題、あるいは未達願望である。

いずれにせよ、経営者としての敏感力が求められる。空気が読めない、気がつかない、無視し続ける、新しいことはしたくない、動きたくない、これでは問題を認識することもできず、経営者としての能力が疑われる。

ここでの悩み・問題・未達願望には、喫緊なものから放置しておいてもいい物まである。 場合によっては、自分が解決する必要がない問題もあるだろう。

ここでいう「課題」とは「速やかに解決しなければならない問題」と定義しておく。すなわち、不都合な問題・やるべき事(願望)の優先順位付けができている、ということが経営者の資質である。

そして、優先すべきと見極められた課題に対して、原因の究明、さらには真因の究明が行われる。なぜ不良品が出てしまうのか? なぜ商品が売れないのか? を 突き止めなければならない。

問題解決スタイル:解決案を並べるより、問題点をつかむのが難しい

 

さてここで、左側の森羅万象世界からの説明をしていきたい。森羅万象。世の中のあらゆる事。現象・事象・事実・事件・思い・考え・つぶやき・閃き・記事・会話・行動・その他いろいろである。自然現象から人間の行為(感情的行為・知識的行為・肉体的行為)、工場や自動車などの機械が機能している状況などのすべてである。

これら森羅万象の中から、ほんの一部の事態がビックデータとして記録される。

ビックデータは、企業データのような目的性を持った入力データもあれば、一般庶民が呟くようなそれほど意味のないデータもある。data-475551_1280

構造化されたデータもあれば、非構造化データもある。参照サイトnews no.ビックデータ

ビッグデータとアナリティクス:ビッグ情報アナリティクスの活用プロセス

従ってビッグデータは、

1) 森羅万象の世界にあるごく「一部の事実・ファクト」を含有している。データでは見えない部分が、まだ、いっぱいある。

2) IT化(デジタル化)で捉えられたものである。動画、M2Mなど範囲は広がってきた。

3) 時としてウソや誤謬を含んだものである。例えば、アンケートに答える時にどのくらい心に正直に答えているであろうか。結構いい加減ではないか?(この手の対策には、脳科学や心理学で読み取ろうという分野が進んできている。

錯覚・選択・脳科学:錯覚、視覚と脳認識の相違 事実認識は難しい

4) 時として意図的な使われ方もある。フェースブックやツイッターでの発信は、素直な本心から、恣意的な発言までいろいろである(食べログ問題は記憶にあろう)。

5) さらに、時間がたつと鮮度がなくなる=データとファクトの差が出てくる。

というように 事実・ファクトとデータは、違う物であることを認識しておきたい。

次にビックデータは、すでに別稿述べた通りだが、そこからいきなり分析する訳では無い。

分析は、目的があって行う行為である。ビックデーターの中から突き止めたい原因、あるいは検証したい解決策のために、検索・抽出されたインフォメーションが必須である=分析対象情報、これがアナリティクスの「まな板」に乗るわけである。

この「原因・真因を突き止める→ビック情報アナリティクスを実施する→解決案を考える」 というサイクルをぐるぐる回していくのが、仮説検証アプローチである。

仮説検証スタイル:仮説検証で課題解決する。仮説を考えたら=即結論としていないか?

そして最終的にいくつかの解決案から選択を行い、意思決定事項になるわけである。

意思決定スタイル:意思決定と選択(ホンダカーナビを例に)

ビジネスに関連付けてみると、左側は、SWベンダーやSIerの領域、右側は、業務コンサルティング支援の領域と言える。

【2:動的なアプローチ】

図2:動的なアプローチ
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静的なアプローチでは、「不都合問題・やりたい願望にたいして、リアルな森羅万象のファクトを洞察して解決や施策立案に活用すること」を行う。

これを可能にしたのが、ICTの進化

1)ビッグデータ収集力・蓄積力、2)超高速スピード検索力、3)超高速スピード解析分析力(プロファイリング相関関係、その他今まで何日もかかった処理が1分で終わる世界)である。その意味では、Hadoop、Google、SASなどがその進歩を背負ってきたといえる。

しかし、仮説検証アプローチの中で、「仮説をどう構築するのか」と言う事が、一番難しい。動的アプローチではそこに1つのアイデアを提供したい。

動的アプローチは、ざっくり言うと「温故知新」と「ケース(トランザクション)追跡」の組み合わせである。

注:仮説設定の方法には、類似事例からの設定(航空機事故分析など)や新機能価値からの設定(新商品や新たなビジネスモデル)などあるといわれる。本稿では、ビッグデータ分析を中心に置くアプローチを取り上げた。

図2を見てもらいたい。

課題は、「ハワイ旅行ツアーの集客を増加させたい。どうしたらいいか? (会員サイトの登録情報や、フェイスブックページのいいね会員など、行動パターンやプロファイルがある程度わかる前提)」である

1) 現在を知る

JTBでもHISでも、どこでも良いが、今週のハワイ旅行ツアーの参加者の特定を行う。彼らは、経緯はどうあれ 旅行社のお客様になっていただいた方々である。

それが個人・家族、あるいは一定集団か、規模やグループレベルはいろいろであろうが、集客に成功したグループとして特定できる。

2)ケース(トランズアクション)行動パターンを知る

そして、そのグループあるいは個人の過去の行動パターンをビッグデータの中から検索・抽出し、分析にかけ、ハワイ旅行ツアー申し込みとの相関関係がある行動を検討する。

その行動(直前数週間→3ヶ月前→日ごろの行動)や登録された年齢や家族構成が、ハワイ旅行にどう連動してるか関係を見る。hawaii-189594_1280

「子供の受験が終わったので」、「3月ごろにアマゾンでMOOKハワイ旅行雑誌購入した」、「4月に自社サイト訪問多数あった」、「仮予約がサイトから3件入る」などである。

自社のDBやサイト情報だけではなく、FBやTWなどの情報も参考にしながら分析できる時代である。

さらに、グーグルなどであれば、検索ワードの連動でどのような人がどのような検索キーワードに興味があるかが、明白である。

「ハワイ、ワイキキ、XXホテル」で検索掛ける人のハワイ旅行実施率は、十分に高いと思われる。さらに、そのあとにレンタカー社予約画面に遷移していれば、かなりの確率で実施するのではないかと思われる。

読者の皆さんも、ハワイのレンタカー会社の予約画面を使ったことがある人は ほぼ全員その後にハワイ旅行に行かれたのではないかと推察する。

3)未来への適用

このようなお作法は、ハワイに行く前に行うお決まりの行動パターンといえる。

それを、ケース追跡アプローチとして拡大し、子供の受験終了+ハワイ雑誌の購入+旅行会社サイト訪問+X+X+Xというような行動パターンの連続性を捉えた集団の抽出である。

ハワイ旅行に行くグループの行動パターンを理解できれば、今度は、そのパターンの母集団を抽出し、それに合わせて営業施策を振ってゆく。

このような集団がわかればキャンペーンの打ち方ツアーの作り方そのタイミングなどが一定の規模も持って行える

これによって契約実現率(コンバージョンレート)を高くすることができるのである。

【まとめ】

ビッグデータ活用というと、マーケティング事例がわかりやすいわけだが、製造業の生産ラインの不良発生の原因究明なども今までできなかった細分化での分析が実現されている。

このように仮説設定は、静的フレームの中で動的アプローチを使って行い、サイクルを回しながら検証していくのが強力な方法である。まさに、情報を制する者が ビジネスを制する = 旅行業でいえば、Google、Yahoo、楽天、JAL,ANA、エクスペディア、JTB、HISなどである。(少なくとも、JALは、私と家族の海外渡航履歴の90%以上を知っている。たぶん、私より正確に。)以上