店舗の将来像 物販(コンビニ)型か 体験(ディズニーランド)型か

<<10年後の日本のリアル店舗の形>>

10年後、日本の店舗はどんな将来像であろうか? ICT進化や社会変化の流れを考えつつ想像してみたい。

過去をさかのぼると30年前は、八百屋さん、酒屋さん、タバコ屋さんなど個人の店が私たちのまわりにはいっぱいあった。しかし、今、それを探そうとしても見つけられるであろうか?
都心でも地方でも、あるのはコンビニエンスストアである。それもすぐ近く、以前の八百屋さんや酒屋さんの場所にである。

もともと、コンビニエンスストアは、セブンイレブンJの創始者である鈴木敏文氏が、イトーヨーカ堂のスーパー進出にたいして、地元商店街の八百屋さんや酒屋さんが猛反発したことに対する解決案であった。それは、江東区の酒屋さんを皮切りにドミナント戦略で、展開したビジネスモデルである。

HAW85_nagasakiromendensyas30年経って、見事に日本国中で、個々にばらばらであった八百屋さんと酒屋さんとタバコ屋さんがフランチャイズになり、インフラ統合でネットワーク化された。

このような画期的な変化を持たらせたのは、セブンイレブンを代表とするコンビニ業界の頑張りは当然として、ICT基盤や物流基盤の発展、さらには生活者の価値観や社会環境が大きく影響している。

コンビニエンスストアの展開は、全国津々浦々、すべての生活者に対して素晴らしいサービスを提供している。特に東日本大震災における救援活動でその重要性は証明された。そして、東南海大地震等、今後予測される震災に対してもコンビニエンスストアが果たす役割はその比重を増している。

時間のスピードが加速度的に増している今日、流通店舗におけるこのような変化は、更にいろいろあると考えられる。

 

そこで、店舗の姿に影響を与える主要なインパクトを、考えておきたい。

1)まずは、マクロ環境すなわち、人口動態であり、少子化、高齢化、単身世帯増加、働く女性の増加、である。また、マクロ経済として、どこまで経済環境が、低価格商品によるデフレの継続となるのか気になるところである。

2)次は、社会環境の変化である。若者の車離れが顕著であり、不必要な豪華さの拒否すなわち、フェラーリに乗ることが憧れでない世代の出現である。賢い消費者は、安くて質の良い合理性の追求をする。zu1 (32)

3)三番目にはICT環境とそのリテラシーの向上である。

国民のほぼ100%がインターネット世代となり、個人は、コミュニケーションを楽しみ、情報発信が当たり前になる。

中小企業もクラウド活用で大企業に負けないプロセス管理や情報管理ができる。データの一元管理やビッグデータによる行動分析などは、当然の経済活動となる

 

このような変化の中で、店舗の形態・役割は大きく3つに分かれると考える。

1) 体験型=体験の場やショールームとしての店舗

新しい製品を見て情報を収集する。テーマパークに行って楽しさを体験するような感覚の場所、ウィンドショッピングを楽しむような場所である。

2)サービス型=労働サービスの提供受領の店舗

理髪店・美容院やレストラン等であり、人間(消費者)がそこに行かないとサービスが受けられない物理的な場所である。

3)物販型=品物、物販の受渡しのための店舗、

食品でも衣料品でも日用品でも、品物である以上物の受け渡しはなくならないわけでありそのための場所である。

図 将来店舗の分類タイプ
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それでは、図をみながら 店舗の姿を順番に見ていきたい。

1) 右上=体験型 体験・ショッピングを訴求

タイプとしては、百貨店、モール、駅ビル、テーマパークなどである。

典型的なものは、やはり百貨店にように都心部駅前や地方主要都市に大規模店舗を抱える業態である。そして多くの集客をし品揃えを充実させ購買意欲をわかせようとする。

しかし、紳士服や衣料品は専門店やSPAの低価格路線に、家具や電化製品ははるか以前に撤退し、ブランド品は専門店に店舗場貸になり、と苦戦が続いてきた。

これからの、百貨店は、家族、友人、同僚、趣味の仲間等が優雅に体験型ウィンドウショッピングを楽しめる環境をつくり、できるだけ長い時間滞在してもらい、その中で気に入っていただいた価値ある商品を買っていただく作戦となる。a0782_000896

少し流通からは離れるが,東京ディズニーランドやサンリオパークのように、体験の楽しさを提供しておいて、その後に映画やキャラクターグッズを展開する成功モデルを、目指してゆくことになる。

そのためには、テーマを、強く発信できる力が必要であり、エンターテインメント性も不可欠である。(どちらかというとメディアに近い機能が強く必要になる)

何れにしても、この領域は、「モノ」を中心にしてはいけない。楽しさを提供し、高い付加価値をアピールして顧客の「驚き・満足・好き」になる商売をする必要がある。

そのためには、店舗を情報空間化(=テーマパーク化)する。すなわち、デジタルサイネージやWIFILANのスマホアクセスを最大限に活用し、ロボットなどで驚きの案内をし、イベントを提供し、コンセルジェで相談にのり、休息場所ラウンジサービスを提供する。

たとえば、自然食材の料理をレストランで提供したら、そのレシピ、食材説明、調味料など、店舗のコダワリスタイルを教えて買っていただくアプローチである。買っていただいたら、料理教室でレッスンもありで、コミュニティーつくりが顧客作りになるのである。

この業態の販促は、名前の連呼でも低価格の宣伝でもなく、楽しさを伝える、教える、教育する、友達になるである。そのために、ICT=スマホモバイル、パソコン、エレクトリックコマースなどの最大活用が必須である。

2) 左上=サービス型  近隣でのサービス店舗

サービス提供型は、100%労働集約の産業である。すなわち100%人財の勝負である。それは、技術(マーケット)スキルもコア(資質)スキルも両方である。

業態としては、「モノ」も提供するが、それだけではなく、サービスすなわち「コト」を中心として価値を提供していく店舗である。

a0780_000216一番わかりやすい業種は、理髪店、美容院などであろう。

髪を整えることが消費者の目的ではなく、そのあとのレストランでの食事、営業プレゼンテーションの成功、結婚式参加のためなど 自己実現への準備である。

個人技(手に職)が買われる領域であり、差別化=個々の強みである。そのため、バラバラな個人事業の店舗が全国に多数散在する業態である。個人事業の経営基盤は、まだまだ課題り、全国拡大などはまだ起きていない。

コンビニエンスストアCVSになる前の八百屋・酒屋状態である。労働=スキルが価値である分 コンビニCVS物売りとはちがい、標準化や統合には困難さがある。(規制等が業界発展を妨げている要因ともいわれる)

レストラン事業などもこの領域である

スターバックスのようなカフェ、ワタミのような居酒屋、このような店舗も、コーヒーとか料理を提供するというよりは、行ってリラックスできる空間や 楽しく語り合えるテーブルや雰囲気を提供しているわけである。

cafe0001_014745コメダ珈琲店は40年にわたる積み重ねで、お客様がくつろげる空間を作ってきた成果が出てきているとのことだ。お客様が何を求めて店舗にくるのか? クーラー電気代が高い、主婦仲間と雑談するのに自宅ではやりたくない、お昼の軽食は作りたくない、商談打合せ場所がないなど課題解決のための店つくりである。

ここまではすでにやられている素晴らしいことであるが、さらに、お客様の課題にこたえるコーヒー店舗とはなにか? 趣味のコミュニティー広場? 家の修繕の相談窓口コンセルジェ? 高齢者合コンの場? 熟年旅行相談コンセルジェ? みたいなイベント組合わせ(自前でなくていい)ではないかと考える。

読者のみなさんは自宅で、「ちょっと棚を修理したいんだが」とか「レイアウトを変えたいのだが」とか家の修繕・改善をしたいところはないだろうか?そして、我慢してつかっているのではないか?そんな時、町の工務店(大工屋さん)を知っていたらそんな課題を解決してくれるわけだ。

しかし、出会いの場は、よくわからない。インターネット情報があっても安心できない? このような場を 珈琲店が提供する。 サービス型は 課題解決のための 情報コンビニになるということだ。

すなわち、インターネットでは得られない(信用できない)ところ=暗黙知のコミュニケーションを珈琲店舗の場でF2F(フェイスTOフェイス)するのである。

3)左下=物販型 近い 安い 便利の モノのお届け店舗

ここの領域は一番わかり易い。コンビニエンスストアのような物販業態である。(セブン、ローソン、ファミマなど)弁当から日用品、現金紙幣ATM、クリーニングシャツ、など、あらゆる物「モノ」=現物の交換取引の場所である。

生鮮野菜などを主流とするミニスーパーもこの領域である。自社生産野菜、自然食品、単身惣菜、地方産品など、で強みをとる。(成城石井、エース、プチマルエツなど)

最近では、コンビニエンスストアも生鮮野菜を扱いだし、プチスーパーとほとんど同じ状態だ。

ドラッグストアは、コンビニに比べるとまだ統合化は進んでいないが、OTC商品の薬屋さんの範囲から発展拡大して、何でも売る。コンビニエンスとほとんど変わらない品揃えになってきた。

この領域は、とにかく身近で良品質で低価格な商品を、合理的な仕組みで物販する店舗の競争である。切磋琢磨してもらいたい。

逆に、ハンバーガーや、激烈な低価格競争をしている牛丼屋は、今日のような食材提供ストアから脱皮し、近隣サービス型に転換して行かないと、いずれコンビニに、凌駕される可能性がある。この辺は、デフレの継続度合や女性客の動向が鍵となる。

さらに付け加えると、左下コンビニ物販型の脅威は、リアル店舗を持たない宅配・ECである。

買うものさえ明確であるならば、インターネットで注文して持ってきていただけるのがより合理的であることは、すでに皆が知っている。
4) 右下= 集合型 郊外などの大型集合施設

結論から先に言うとこの領域は縮小すると考える。というのは、下記の社会現象の流れに合わないからである。purchase-center-569760_1280s

高齢化による商圏の縮小、車社会の減衰、高齢者・女性客など顧客セグメントの細分化、郊外から駅中心部への再集中、ICTによる情報収集の容易性、自分社会の実現による大量汎用の否定、体験型の台頭、近隣型の低価格化(コンビニ商品も低価格)。

そして、郊外にあるGMSを中核とする大規模ショッピングモールは、体験見本型に移行する。(既になっている?)

売り場を拡大しブランド店舗で集客するやり方は、ショールームとしてはいいが販売アプローチとしては効果的でなくなる

現在、GMSでは、プライベートブランド比率を高めて低価格をアピールしている。これは、売れる量を確保し無駄な販促をせずに低価格でたくさん売る作戦だが、だんだんとグループに各社に展開し、近隣店舗に移行してゆくことになる。また、ネットが主流になるのも時間の問題であろう。

紳士服の青木やコナカは、すでに都心部の中小店舗を開拓しつつあり、女性を含めた身近な店舗を目指している。ユニクロも利便性の高い駅中や街中に展開してきている。

家電量販店は、テレビを代表とする電化製品の大量仕入れと安売り=規模の経済性で拡大をしてきたが、激しい低価格競争とテレビ市場低迷で集約が進み勝ち残れるのは数社である。そして購買行動は、実物確認は量販店に足を運び、購入はインターネット経由したサイトでいちばん安く買う方法が、既に一般化している。

ゆえに家電量販店は、たくましく生きる道を、台所セットやシステムキッチンとしている。ヤマダデンキがトヨタやパナソニックと競合しても、住宅産業へ進出し、太陽光パネル戦略に大転換していこうとするわけである。頑張ってもらいたい。

このように右下の郊外集中型は、ショールームになっていくか、近隣型のビジネスモデルへ変更、さらには異業種展開の戦略が求められてくるであろう。

<<まとめ>>以上 4象限の切り口(体験型、物販型、サービス型、集合型)で 店舗の今後の在り様を考えてきたが、ビジネスモデルとしては、どれかに特化するのではないと考える。ザックリ各タイプの方向性を、私見としてコメントすると以下の様になる。体験型=テーマ設定・提案を訴求し、施設(駅ビル等)を行って楽しい場所にしろ。

サービス型=生活者の課題に密着し、異業種連携でネットワークを組め、情報のコンビニになれ。物販型=とにかく便利=近い、安い、早い、を追求する。集合型=低価格だけでない訴求を目指せ。そして、体験型で認知させ、物販型(近隣販売)で継続的に商品販売し、サービス型で、満足させるというよな、連携ビジネス。すべてを自社でやる必要もなく、コラボで構築するモデルが成功のヒントではないか。以上